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ダチョウ抗体による花粉対策のメカニズム

ダチョウ抗体が花粉の侵入を防ぐメカニズムをご紹介します。

ダチョウ抗体研究の第一人者、京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 塚本康浩教授に、ダチョウ抗体について伺いました。

京都府立大学大学院  生命環境科学研究科 動物衛生学教授(獣医学博士)塚本 康浩 教授

■プロフィール
1968年 京都府生まれ。1998年から世界一大きな鳥「ダチョウ」に憧れて観察をし始め、ダチョウ牧場「オーストリッチ神戸」のダチョウ主治医に就任。そこでダチョウの免疫力の高さに気付き本格的に研究を始める。その後、企業「オーストリッチファーマ」を設立し、ダチョウ抗体の商品化に向けて乗り出す。
ダチョウの卵から抽出した抗体を用いた新型インフルエンザ予防のための「ダチョウ抗体マスク」をクロシード(株)と共同開発。ダチョウ抗体マスクは2008年8月の発売と同時に多くのメディアから注目を浴び、2009年に「文部科学大臣賞」「京都府知事特別表彰受賞」を受賞、2011年には「関西経済連合会関西財界セミナー賞特別賞」も受賞した。
京都府立大学大学院生命環境科学部動物衛生学研究室教授であり、獣医師でもあり獣医学博士。

花粉アレルギーとは・・・

鼻や目などの粘膜に花粉が取り付くと、肥満細胞が花粉アレルゲンと結びつき、刺激物質を放出します。この刺激物質が、花粉症の症状である目のかゆみ、くしゃみ等をひきおこしています。

花粉の破裂シーン

花粉の殻は水分(自然界では雨など)が着くとすぐにはじけ破裂して微細な花粉アレルゲンが飛び出します。
マスクの使用時の口もとの湿度は90%と言われています。マスクを長時間使用すると、マスク表面(フィルター)に付着した花粉の殻は、マスクの中の水分に反応し、はじけ、破裂する危険性が高くなります。

空気中の危険因子の粒子の大きさ

花粉の殻は、20〜30μで比較的大きいのですが、マスク上の水分(湿度)ですぐに殻が割れて飛び出す"花粉アレルゲン"は非常に細かな粒子です。
PM2.5、インフルエンザウイルス、花粉アレルゲン全てをクリアーする高機能マスクフィルターには『PFE試験99%』が求められます。

ダチョウ抗体マスクをつけると、花粉の侵入をより防ぐことができます!

花粉アレルゲンがダチョウ抗体でブロックされているので、肥満細胞まで届きにくく、刺激物質も放出されにくくなります。

ダチョウ抗体が花粉アレルゲンに反応しています!

スギ花粉のカラが水分で破れ、中から飛び出した花粉アレルゲンにダチョウ抗体が反応し吸着している顕微鏡画像が写し出されています。
※ダチョウ抗体にFITCという緑の蛍光色素をつけているので光って写ります。

花粉症ダチョウが日本人を守ってくれる

私たちの研究室では、ダチョウを用いて有用抗体の低コスト大量作製法(従来の4000分の1の低コスト化)の開発に成功し、様々な感染症の防御用素材の開発を行っております。すでに、ダチョウ抗体を用いたマスク(ダチョウ抗体マスク)や空気清浄機が鳥インフルエンザや新型インフルエンザそして季節性インフルエンザウイルス防御用として販売されております

花粉症にかかったダチョウから得たひらめき

このたび、ダチョウを用いることにより更なる面白い研究成果が出てきましたので、連絡させていただきます。今、ダチョウを500羽程飼っているのですが、そのなかで毎年、春先に何となく瞼が腫れてくる個体が出てきます。
瞼と言っても第三眼瞼(いわゆる瞬膜)といって早く走るときに出てくる眼球をカバーするゴーグルみたいな半透明の瞼です(人間では殆ど退化しております)。春先に腫れるので不思議に思っていたのですが(私は獣医師なので)、血液検査すると花粉アレルゲンに対する抗体値が非常に高い事が判明しました。
つまり、野外で飼っているダチョウは花粉症になっているのです。ダチョウは寿命が60年と非常に長く、野外で飼育する事が多いので、特に日本では花粉にさらされる機会が多いと思われます。検査した40羽中(おそらく5歳以上の年齢)、27羽が花粉症でした。血液中には、スギ花粉アレルゲンとヒノキ花粉アレルゲンに反応する抗体が存在しましたので、少なくともダチョウはスギ花粉かつヒノキ花粉症と言う事になります。

花粉症を抑える“ダチョウ抗体”

そこで、これまでの私たちが開発したダチョウ抗体精製の技術を用いれば、花粉症ダチョウからの卵から花粉アレルゲンに対する抗体が低コストで大量に採取できると考えました。実際にチャレンジしましたところ、予想通りの結果となりました。1個のダチョウ卵の卵黄から約4g の抗体が精製され、スギ花粉とヒノキ花粉アレルゲンの全てに反応することがわかりました。また、この卵黄からの抗体を花粉アレルゲンをしみ込ませた濾紙に添加し、花粉症の人の皮膚に塗布しましたところ、非常に面白い結果を得ました。花粉アレルゲンをしみ込ませた濾紙を塗布した場合は、1時間後には花粉症の人の皮膚はアレルギー反応(赤く腫れる)をおこしましたが、花粉症ダチョウからの抗体を添加しておきますと、アレルギー反応が起こりませんでした。
つまり、ダチョウの抗体が花粉アレルゲンに結合(いわゆる抗原抗体反応)し、人の皮膚でのアレルギー反応を抑えると言う事になります。ダチョウ卵黄抗体はいわゆるポリクローナル抗体というものでして、アレルゲン分子の殆どを覆ってしまうために、ヒトの IgE が反応する場所が無くなってしまうからだと察します。花粉症の原因は、花粉そのものというより、その中に含まれるアレルゲン(Cryj1 など)である場合が殆どです。花粉粒子の皮膜が破れてアレルゲンが粘膜等に触れる事でアレルギー反応が起こります。つまり、このアレルゲンをターゲットとすれば花粉症を抑える事も可能となります。

ダチョウ抗体の今後

こんな感じで、花粉症にかかったダチョウを利用して、同じく花粉症に悩んでいる人間の悩みを低減するという、馬鹿げた内容ですが、愛鳥家の私が日頃のダチョウ観察から発案したものです。現在、莫大な数の日本人が毎年おなじ季節に花粉症で苦しんでおり、その苦痛やストレスによる日本全体の経済的ダメージは大きいとされています。花粉症ダチョウが日本経済を救ってくれる事を信じております。

少しでも私たちのダチョウ研究に興味を持っていただけますと幸いです。